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アウトプット!

【読書メモ】ヒットの崩壊(柴 那典)

今年最初に読んだ本は『ヒットの崩壊』でした。

ヒットの崩壊 (講談社現代新書)

ヒットの崩壊 (講談社現代新書)

 

現在の音楽業界において「CDが売れなくなった」というのはよく言われるところですが 実情、何が起こっているのかインタビューや世界のトレンドから分析しています。

印象に残ったポイントが2点あったのでまとめます。

①「モノ」から「体験」へ、消費の軸足の変容

所有することへの価値が下がっていっているのがCDが売れなくなっている要因ではありますよね。別に所有しなくてもYouTubeなりApple Musicなりでだいたいの「コンテンツ」にはアクセスできるようになりました。

一方でナマの体験、今ここでしか体験できないことへの価値は上がり続けています。

自分自身、よくフェスだのライブだの参加していますがそのものだけではなくてチケット取れたらつぶやくし、行ったら写真撮ってシェアする、そうした行為すら価値になって購買動機になっています。

そう考えると1960年代からグレイトフル・デッドというバンドがCDに頼らずライブ録音も許可しながら全米でトップクラスの収益をあげていたというのは本当に先見の明があったのだろうと思います。

ロングテールとモンスターヘッド(と”健全なミドルボディ”)

インターネットによって人の志向性に基いた購買行動ができるようになったため。売れるものも細分化されていくいうのがすなわち”ロングテール化していく”ということですよね。元WIRED編集長のクリス・アンダーソンが提言していたこの世界観は僕も知っていました。

ただ実情としてはそうではなく圧倒的なスケールでトップに君臨するプレイヤー(=モンスターヘッド)が誕生しロングテールとの両極化が進んでいっているとのこと。

大きな利益を創るのはモンスターヘッドであり、こうしたモンスターヘッドを生み出す戦略をブロックバスター戦略というらしいです。これは知らなかった。

確かに2016年の映画の代表作である「君の名は。」もモンスターヘッドですし新開監督のいろんな発言をみるとブロックバスター戦略に基づいた映画なんだろうなぁと思います。

で、3つ目にでてくるのが”健全なミドルボディ”です。

利益の出ないロングテールではなく、爆発的な成功を収めるモンスターヘッドでもなく10万、20万人といったの特定の人達(商業的にも成り立つ人数)に、オンターゲットでメッセージングしヒットを作っていく。これを”健全なミドルボディ”と定義していました。

大好きなtofubeatsが所属しているunBORDEというレーベルが目指しているのも”健全なミドルボディ”を作ること、だそうです。

ブランドを作っていくという観点でこの”健全なミドルボディ”という考え方が個人的にむちゃくちゃ好きです。自然で、寄り添っている気がします。

ヒットの崩壊」。総じて面白い本でした。オススメします。